今は昔。テレビは街頭の、お茶の間の、ダントツの人気者だった。豊かな広告収入を背景に、情報や娯楽を提供する民間放送は、資本主義社会で最も成功したビジネスモデルの一つだった。しかし、その勢いはもうない。「テレビは観ない」と公言することがクールだった時代を通り越し、今はテレビを持たない若者も珍しくない。マスメディアの頂点でジャーナリズムの一翼を担ってきたテレビが、「マスゴミ」と揶揄されるようになって久しい。これは市民社会の成熟か、あるいはメディア自身の凋落か…。今、テレビで、何が起きているのか? 『ホームレス理事長』『ヤクザと憲法』のクルーが、自社の報道部にカメラを入れた。
本作は東海テレビ開局60周年記念番組「さよならテレビ」(77分)に新たなシーンを加えた待望の映画化である。自らを裸にしていくかのような企画は、取材当初からハレーションを引き起こした。そして、東海地方限定で放送されるやいなや、テーマだけでなく、その挑発的な演出が、異例の大反響を呼んだ。番組を録画したDVDが、まるで密造酒のように全国の映像制作者に出回った。テレビの現場は日々、何に苦悩し、何を恐れ、どんな決断を迫られているのか。果たして、今のテレビにレゾンデートルはあるのか?
薄っぺらいメディアリテラシーは、もうたくさん。テレビの今を活写する。
1959 年生まれ。同志社大学新聞学科卒業、81 年東海テレビ入社。アナウンサーを経てドキュメンタリー制作。 主なディレクター作品に「村と戦争」(95・放送文化基金賞優秀賞)、「約束〜日本一のダムが奪うもの〜」(07・ 地方の時代映像祭グランプリ)など。プロデュース作品に「とうちゃんはエジソン」(03・ギャラクシー大賞)、「裁判長のお弁当」(07・同大賞)、「光と影〜光市母子殺害事件 弁護団の 300 日〜」(08・日本民間放送連盟賞最優秀賞)など。 劇場公開作は『平成ジレンマ』(10)、『死刑弁護人』(12)、『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(12)、『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(13)、『神宮希林』(14)、『ヤクザと憲法』(15)、『人生フルーツ』(16)、『眠る村』(18)でプロデューサー、『青空どろぼう』(10)、『長良川ド根性』(12)で共同監督を務める。個人賞として、日本記者クラブ賞(09)、芸術選奨文部科学大臣賞(12)、放送文化基金賞(16)など。東海テレビドキュメンタリー劇場として、菊池寛賞(18)。
1976年生まれ。上智大学英文学科卒業、98年東海テレビ入社。制作部で情報番組やバラエティ番組のAD、ディレクターを経験したのち09年に報道部に異動。遊軍としてメイン企画コーナーのVTRを担当する。11年、12年に日本の農業や交通死亡事故をテーマにした啓発キャンペーンCMなどを製作。『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(13)でドキュメンタリー映画を初監督。公共キャンペーン・スポット「震災から3年~伝えつづける~」で、第52回ギャラクシー賞CM部門大賞、2014年ACC賞ゴールド賞を受賞。公共キャンペーン・スポット「戦争を、考えつづける。」で2015年ACC賞グランプリ(総務大臣賞)を受賞。2016年、監督第2作となる『ヤクザと憲法』(15)を劇場公開し大反響を呼ぶ。
1979年生まれ。千葉県出身、千葉県在住。東京コンセルヴァトアール尚美作曲学科卒業。作・編曲、プロデュース。株式会社Dimension Cruise代表。最近では自身の音楽制作ユニットBeagle Kickとしても活動している。NHKスペシャル「巨大災害 MEGADISASTER」、アニメ「テラフォーマーズ・リベンジ」、「学園黙示録High School of the Dead」、「終わりのセラフ」、「七つの大罪」等。東海テレビドキュメンタリー作品は、本作が初。
映画『マルサの女』(伊丹十三監督)、『ガンヘッド』(原田眞人監督)、『バカヤロー!シリーズ』(森田芳光総指揮)などの音楽制作から、映画・TV・CM・舞台の音楽を制作。アニメーション映画『時をかける少女』、『サマーウォーズ』(細田守監督)なども手がけている。また近年は、著作権・海外ライセンスなどにも詳しい音楽プロデューサーとして作品作りに係わっている。東海テレビ作品は「検事のふろしき」(09)、「毒とひまわり」(10)、「母の絵日記」(10)、『平成ジレンマ』(10)、『青空どろぼう』(10)、「議会のかたち」(11)、『死刑弁護人』(12)、『長良川ド根性』(12)、「四季 純情の里」(12)、『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(12)、「熱中コマ大戦 全国町工場奮闘記」(13)、『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(13)、『神宮希林』(14)、「森林ニッポン」(14)、「じゃがいもコロコロ」(15)、『ヤクザと憲法』(15)、「熱中コマ世界大戦」(15)、「戦後70年 樹木希林 ドキュメンタリーの旅」(15)、『ふたりの死刑囚』(15)、『人生フルーツ』(16)、「きずあと 101歳 戦争と平和のレクイエム」(16)、「悪い犬」(17)、「家族のキモチ」(17)、「私のドキュメンタリー10の旅」(18)、『眠る村』(18)、「Home~闇サイト事件・娘の贈りもの~」(18)、『さよならテレビ』(19)、「はこぶね~伊勢湾台風・開拓者の60年~」(19)など28作。
1974年生まれ。大同工業大学工学部卒業、97年東海テレビプロダクション入社。東海テレビでニュース、ドキュメンタリーの撮影を担当。主な担当作品に「とうちゃんはエジソン」(03・ギャラクシー大賞)、「福祉番長!」(04・ゆふいん文化・記録映画祭松川賞)、「森といのちの響き~お伊勢さんとモアイの島~」(08)。劇場版ドキュメンタリーの撮影は『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(13)、『神宮希林』(14)、『ヤクザと憲法』(15)。公共キャンペーン・スポット「震災から3年~伝えつづける~」で、第52回ギャラクシー賞CM部門大賞、2014年ACC賞ゴールド賞を受賞。公共キャンペーン・スポット「戦争を、考えつづける。」で2015年ACC賞グランプリ(総務大臣賞)を受賞。
1976年生まれ。高校卒業後、渡英。シェフィールド・ハラム大学経営学部中退。帰国後、2000年東海サウンド入社。報道、ドキュメンタリーからスポーツ、バラエティまで幅広いジャンルで音響効果を担当。参加した劇場版ドキュメンタリーは『平成ジレンマ』(10)、『死刑弁護人』(12)、『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(12)、『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(13)、『神宮希林』(14)、『ヤクザと憲法』(15)、『ふたりの死刑囚』(15)、『人生フルーツ』(16)。
1969年生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒業(現・名古屋造形大学)、91年東海テレビプロダクション入社。CМ、VP、番組制作を経て、06年報道部のニュース、ドキュメンタリー編集担当。主な作品は「路上のカルテ」(09・座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル入賞)、「母の絵日記」(10・ギャラクシー賞奨励賞)、「議会のかたち」(11・ギャラクシー賞奨励賞)、「戦後70年 樹木希林 ドキュメンタリーの旅」(15)、「きずあと 101歳 戦争と平和のレクイエム」(16・ギャラクシー賞選奨)。公共キャンペーン・スポットでは、ギャラクシー賞CM部門大賞、ACC賞グランプリ(総務大臣賞)などを受賞。劇場版ドキュメンタリーの編集は『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(13)。
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
東京都 | ポレポレ東中野 | 03-3371-0088 | 圡方宏史プロデュース作『その鼓動に耳をあてよ』公開記念 《圡方宏史監督作品特集上映》1週間限定開催決定! 2024/2/5(月), 7(水), 9(金) |
東京都 | トリウッド | 03-3414-0433 | <上映終了> 9月4日(金)〜10月2日(金) |
東京都 | ユーロスペース | 03-3461-0211 | <上映終了> 1月11日(土)〜2月21日(金) |
東京都 | キネカ大森 | 03-3762-6000 | <上映終了> 【キネカ大森ドキュメンタリー映画祭】にて上映 2022/10/12(水)、10/15(土) |
東京都 | シネマハウス大塚 | 03-5972-4130 | <上映終了> <Mシネマ第17弾「政治とメディア」特集>にて 2021年7月3日(土)~7月9日(金) *7/6㊋休映 |
神奈川県 | 横浜 シネマ・ジャック&ベティ | 045-243-9800 | <上映終了> 1月18日(土)〜2月7日(金) |
神奈川県 | あつぎのえいがかん kiki | 046-240-0600 | <上映終了> 2月1日(土)〜2月14日(金) |
埼玉県 | 川越スカラ座 | 049-223-0733 | <上映終了> 2月8日(土)〜2月14日(金) |
埼玉県 | 深谷シネマ | 048-551-4592 | <上映終了> 6月14日(日)〜6月27日(土) |
千葉県 | シネマイクスピアリ | 047-305-3855 | <上映終了> 9月4日(金)〜9月10日(木) |
群馬県 | シネマテークたかさき | 027-325-1744 | <上映終了> 1月18日(土)〜1月31日(金) |
栃木県 | 宇都宮ヒカリ座 | 028-633-4445 | <上映終了> 7月11日(土)〜7月24日(金) |
茨城県 | あまや座 | 029-212-7531 | <上映終了> 2月22日(土)〜3月6日(金) |
北海道 | シアターキノ | 011-231-9355 | <上映終了> <上映延長決定!!> 2月1日(土)〜2月20日(木) |
北海道 | 函館 シネマアイリス | 0138-31-6761 | 5月1日(金)より公開 近日公開 |
青森県 | フォーラム八戸 | 0178-38-0035 | <上映終了> 2月14日(金)〜2月20日(木) |
岩手県 | フォーラム盛岡 | 019-622-4770 | <上映終了> 4月10日(金)〜4月16日(木) |
山形県 | フォーラム山形 | 023-632-3220 | <上映終了> 2月21日(金)〜2月27日(木) |
宮城県 | フォーラム仙台 | 022-728-7866 | <上映終了> 2月14日(金)〜3月5日(木) |
福島県 | フォーラム福島 | 024-533-1515 | <上映終了> 2月21日(金)〜2月27日(木) |
福島県 | 湯本駅前ミニシアターkuramoto | 080-2109-6385 | <上映終了> 2021年11/2㊋~11/5㊎、11/9㊋~11/12㊎、 11/17㊌、11/21㊐、11/23㊋~11/26㊎、11/30㊋ |
新潟県 | 高田世界館 | 025-520-7442 | <上映終了> 2月15日(土)〜2月28日(金) |
新潟県 | シネ・ウインド | 025-243-5530 | <上映終了> 2月8日(土)〜2月28日(金) |
石川県 | シネモンド | 076-220-5007 | <上映終了> 2月8日(土)〜2月21日(金) |
富山県 | HOTORI × ほとり座 | 076-422-0821 | <上映終了> 2月29日(土)〜3月13日(金) |
富山県 | Da Friends × HOTORI-ZA | 0766-24-9229 | <上映終了> 10月3日(土)〜10月16日(金) |
愛知県 | 名古屋シネマテーク | 052-733-3959 | <上映終了> 特集上映「東海テレビドキュメンタリーの押売り」にて上映 2022年1/29(土)、2/11(金祝) |
愛知県 | 刈谷日劇 | 0566-23-0624 | <上映終了> 5月16日(土)〜6月4日(木) |
静岡県 | 静岡シネ・ギャラリー | 054-250-0283 | <上映終了> 2月15日(土)〜2月28日(金) |
静岡県 | 浜松 シネマイーラ | 053-489-5539 | <上映終了> 2月22日(土)〜2月28日(金) |
静岡県 | イオンシネマ富士宮 | 0544-28-2222 | <上映終了> 5月18日(月)〜6月4日(木) |
静岡県 | シネプラザサントムーン | 055-983-1800 | <上映終了> 5月29日(金)~6月11日(木) |
長野県 | 長野ロキシー | 026-232-3016 | <上映終了> 3月28日(土)〜4月17日(金) |
長野県 | 松本CINEMAセレクト | 0263-98-4928 | <上映終了> 2月1日(土)のみ |
長野県 | 上田映劇 | 0268-22-0269 | <上映終了> 2021年3月6日(土)〜3月12日(金) |
大阪府 | 第七藝術劇場 | 06-6302-2073 | <上映終了> 1月4日(土)〜3月13日(金) |
大阪府 | シアターセブン | 06-4862-7733 | <上映終了> 特集上映「東海テレビドキュメンタリーの押売り」にて上映 2022年1/23(日)、1/30(日)、2/11(金祝) |
大阪府 | イオンシネマ茨木 | 072-621-0807 | <上映終了> 5月22日(金)~6月4日(木) |
京都府 | 京都シネマ | 075-353-4723 | <上映終了> <アンコール上映決定!!> 3月7日(土)〜3月26日(木) |
兵庫県 | 元町映画館 | 078-366-2636 | <上映終了> 1月18日(土)〜2月7日(金) |
兵庫県 | 宝塚 シネ・ピピア | 0797-87-3565 | <上映終了> 6月12日(金)〜6月25日(木) |
兵庫県 | 豊岡劇場 | 0796-34-6256 | <上映終了> 1月31日(金)〜2月20日(木) |
岡山県 | シネマ・クレール | 086-231-0019 | <上映終了> 3月6日(金)〜3月19日(木) |
広島県 | 横川シネマ | 082-231-1001 | <上映終了> 2月8日(土)〜2月29日(土) |
広島県 | シネマ尾道 | 0848-24-8222 | <上映終了> 3月2日(月)〜3月13日(金) |
山口県 | 山口情報芸術センター〔YCAM〕 | 083-901-2222 | <上映終了> 2021年2月17日(水)・18日(木)・20日(土)・23日(火)・26日(金)〜28日(日) |
愛媛県 | シネマルナティック | 089-933-9240 | <上映終了> 5月8日(金)〜5月14日(木) |
香川県 | ホール・ソレイユ | 087-861-3366 | <上映終了> 2月14日(金)〜2月27日(木) |
福岡県 | KBCシネマ1・2 | 092-751-4268 | <上映終了> 2月8日(土)〜2月21日(金) |
大分県 | シネマ5 | 097-536-4512 | <上映終了> 2月1日(土)〜2月7日(金) |
大分県 | 別府ブルーバード劇場 | 0977-21-1192 | <上映終了> 5月15日(金)〜5月21日(木) |
大分県 | 日田シネマテークリベルテ | 0973-24-7534 | <上映終了> 6月20日(土)〜7月3日(金) |
佐賀県 | シアターシエマ | 0952-27-5116 | <上映終了> 3月6日(金)〜3月19日(木) |
熊本県 | Denkikan | 096-352-2121 | <上映終了> 2月7日(金)〜2月20日(木) |
宮崎県 | 宮崎キネマ館 | 0985-28-1162 | <上映終了> 6月6日(土)〜6月12日(金) |
鹿児島県 | ガーデンズシネマ | 099-222-8746 | <上映終了> 2月23日(日)〜2月29日(土) |
沖縄県 | 桜坂劇場 | 098-860-9555 | <上映終了> 5月16日(土)〜6月12日(金) |
沖縄県 | シアタードーナツ・オキナワ | 070-5401-1072 | <上映終了> 2021年6月3日(木)~6月30日(水) |
沖縄県 | 石垣市 ゆいロードシアター | 0980-83-3150 | 4月20日(月)〜5月6日(水) |
コメント
武田砂鉄ライター
撮影者も被写体も鑑賞者も翻弄される。
その状態はあたかも、テレビが作り出すものに「真実」はあるのか、との問いに対する暫定的な答えのようにも思える。
少なくとも即答できるものではないことだけがわかる。
だから、繰り返し観る。そういう作品だ。
水道橋博士お笑い芸人
さすが東海テレビ、自社にも忖度なし!!
本作は、泥の中を泳ぐテレビマンの終わりなき日常を活写している!
森達也映画監督/作家
あなたがもしテレビ業界人なら、観ながらずっと居心地が悪い思いをするはずだ。
そしてもし業界人でないのなら、自分たちと何も変わらないテレビ業界人の喜怒哀楽について、思いきり胸を打たれるはずだ。
テレビ版とはまったく違う。見事な映画だ。
カンパニー松尾AV監督
テレビマンが作った、もう一度テレビをおもしろくするための反省文。
それが真っ黒で、テレビに収まらず映画になる皮肉と覚悟。必見!!
赤江珠緒キャスター
例えば報道は怒り、スポーツは歓喜、
情報は誠実さ、バラエティーは癒し…
TVの現場で求められる感性は様々だけれど「時代」という言葉の前にその感性を手離していいのだろうか。
手離した先にプロのTVマンとしての未来はあるのだろうか。
吉岡忍作家
この近しさは何だ?
撮っている人は、落ち着きがない。
写っている人も、はっきりしない。
もっとシャキッとしろよ、と言いたくなる。
だが、これがいまのテレビだ。
いまのマスコミと世の中のもどかしさだ。
しかし、映画館を出たところで、私は口をつぐむ。
この近しさは何だ?
なんだ、撮ったのも、写っていたのも、私じゃないか。
鏡に映ったわが身を見てきたような気がする。
そういえば、あなたもあそこにいませんでした?
三宅民夫アナウンサー
あらゆる取材をしてきたテレビが、まだ描いていない場所が、局内にあった。報道現場の編集会議。
秘密の情報や本音が交わされる場に、制作陣はカメラを据える。
挑戦があぶり出す放送現場の現実。取材とは、テレビとは何か、根本から問う問題作。
(敬称略・順不同)